第三回・バガヴァッドギーターとの関係

 昔インドのあるところに両親を亡くしたブラーマナの娘がおりました。幸運にも偉大なる聖者ドルバサムニに会った彼女は、聖者に花や果物を捧げ、「偉大なる聖者様、私には両親も夫もいなく、誰1人として頼れる者がおりません。どうかこの悲惨な状況から救ってくださいませ。」と祈願しました。聖者は彼女のことを哀れに思い、「もうすぐ最も吉兆なるプルショッタマ月が始まる。この月はクリシュナにとても親しく、他のどの月より高い栄光に満ちている。この月の間に、神の聖名を唱え、聖なる河で沐浴し、寄付を施すならば、あなたは全ての罪から解放され、悲惨な状況から救われるであろう。そしてあなたの望みはかなえられ、あらゆる種類の完成を達することが出来る。決してこのプルショッタマ月を真剣に崇拝することを怠ってはならぬ」とおっしゃいました。
 残念なことに彼女は聖者の言葉を信じられず「あなた様はそんな大げさなことを言って私を騙していらっしゃいます。この月は余計な月、マラマース、糞の月故、この月が他の月より優れているなどいかにして言えましょうか?こ...の余計な月は敬虔な行いをするにはもっとも忌まわしい月です。」と怒りながら批判してしまいました。
 これを聞いた聖者は体中振るえる怒りを制御して、「愚かなる娘よ、あなたは経典の結論を知らない。あなたは自分ではどうにもできない哀れな状況におり、またあなたの父上は私の友人である故、私に対する侮辱は許してあげよう。しかし、プルショッタマ月の対する侮辱は許されぬ、いや許されるべきことではない。よってあなたは来生でこの侮辱の反応を受けることとなるであろう。」とおっしゃい、ナーラーヤナへの奉仕を行うためにその場を離れられました。このようにプルショッタマ月を侮辱してしまった彼女は見る間に体の輝きを失い醜い娘となってしまいました。
 その後彼女は九千年もの間厳しい苦行をしシヴァ神を崇拝しました。彼女の苦行に喜ばれたシヴァ神は、「恩恵を授けてあげよう。何でも望むこと申せ。」と仰せになりました。シヴァ神の言葉を聞いて娘は「貧しい者の友よ、どうか私に夫をください!夫をください!夫をください!夫をください!夫をください!」と言いました。シヴァ神は「五回も夫をくださいと言ったのであなたは来生で五人の夫を授かることになる」と仰せになった後御姿を消されました。

 このブラーマナの娘が、後にドローパダ王の娘ドローパディとして火の儀式から現れ、五人兄弟のパンダヴァと結婚したのです。そしてプルショッタマ月を侮辱してしまった反応により、あの恐ろしい賭博の場でドルヨーダナたちによる酷い仕打ちを受けることに至りました。
 ある時、悪魔シシュパーラの首を撥ねる時に指を怪我してしまったクリシュナ見て、ドローパディは自分の着ていた布の一部を破いてクリシュナの指の怪我の手当てをしました。その愛を込めたドローパディの献身奉仕に報いるためにクリシュナは、彼女がドシャサンに賭博場で服を脱がされそうになった時、無限の布を送り、ドローパディを救いました。この様にクリシュナは主に捧げられたどんな小さな奉仕でも、どんな人からであっても、決して忘れることはありません。そして一番残酷な境地に陥った時にも必ず助けてくださいます。
 バガヴァドギーターはこの時ドローパディに酷い仕打ちをし、パンダヴァの王国を無理やり奪ったドルヨーダナに味方する軍師たちとの全世界を巻き込む大戦争を控え、突然アルジュナが「私は戦わない」と言ったところから始まります。第1章から14章に至るまで、様々な理論を使って戦いをさけようとするアルジュナに対して、クリシュナは様々な哲学やヨガについて語りました。15章ではこれまでのアルジュナの質問とクリシュナの答えというやり取りは、もはやありません。何一つ質問されることなく、クリシュナ御一人だけがどーっと初めから終わりまで話しつずけます。あまりにも重要なことをお話しになっているので、アルジュナが口を挟む余地も無かったということです。15章はクリシュナ御自身のエクスタシーとも言われています。章のタイトルに表れているように、この章は「プルショッタマヨガ、至高主のヨガ」すなわちクリシュナ御自身が御自身について、直接語っているという特別な章なのです。
 プルショッタマ月にプルショッタマヨガの勉強に励まれる皆様に素晴らしい恩恵が授けられますようにとお祈り申し上げます。