クリシュナを初めて知った皆さんへ

釈 願船 記

ISKCON大阪のホームページをご覧になって初めてクリシュナ意識を知った皆さん、おめでとうございます。私たちISKCONディボーティー(献身者)は人生のゴールがクリシュナに仕えクリシュナの下に至る事だと言うことを知っています。ゴールに至るにはスタートから足を一歩踏み出さないと永久にたどり着けません。反対に言えば一歩足を踏み出しさえすれば、ゴールはその分近づいているのです。クリシュナ意識においてのスタートとはクリシュナと言う存在を知ることです。このサイトをご覧になられた方は、クリシュナとクリシュナ意識のあらましはご理解いただけたことと思います。つまりあなたは人生のゴールに足を一歩踏み出されたわけです。クリシュナを知らない人生からクリシュナを知った人生にパラダイムシフトした事をおめでたいと言わずしてどう言えばいいのか僕は考えつきません。

  人生のゴールへの道のりを完走するためには必要なことはクリシュナ意識の実践(献身奉仕)と献身者は考えます。とは言え何から初めて何を行えばいいのか、まだご不明の事と思います。この稿では初心者の方に何をやって行けばよいのか、一人の古参献身者としてあつかましくも偉そうにアドバイスさせていただこうと思います。

①唱えること
「ハレークリシュナ ハレークリシュナ クリシュナ クリシュナ ハレー
 ハレー ハレーラーマ ハレーラーマ ラーマ ラーマ ハレー ハレー」
  これはハレークリシュナマハーマントラと言うとても大事なマントラです。私たち献身者は毎日108珠の数珠16周分1728回以上このマントラを唱えます。マントラの詠唱はクリシュナ意識の核となる重要な行法で、僧侶となった献身者は義務として16周詠唱を行います。
  無論初心者の皆さんに16周唱えることは辛いことだと思いますし、そこまでは求めません。たとえば朝ベッドで目覚めた時、お昼のコーヒーブレイクでほっと一息ついたとき、夜眠る前にまずは1回このマントラを口にしてみてください。しばらく経つと自分の心の中に何か小さな変化が起こっていることに気づくと思います。段々このマントラをもう少し沢山唱えたくなっている事に気がついたら1回を2回、2回を4回に増やしていけばよいのです。いつかは16周唱えれたらいいなぁ位の軽い気持ちで始めるのが継続させるためのコツだと思います。


②聞くこと
 ISKCON大阪センターで行われたクリシュナ意識の指導的な立場の方の法話や、愛称番茶さんが語るバガヴァッドギーター(クリシュナ意識の重要な聖典です)のクラスをYouTubeで公開しています。
  どの法話やクラスも比較的分かりやすく語られていますが、初心者の方には正直チンプンカンプンだと思います。僕もそうでした。でもね、注意深く何回も何回も聞き続けていると少しずつ薄皮がはがれるようにお話の中身が見えて来ます。じっくり聞いてみて下さい。
  ギータークラスは無償か会場費の負担程度で受講できます。分からない事は講師にその場で得心するまで聞いて下さい。東洋の聖典はただ読んだだけでは理解できないように書かれている物が多いのです。ギーターを初めとしたヴェーダ聖典もその一つです。理解している人から聞くと言うことが正しい理解への第一歩です。

③食べ物に気を使う
 ISKCONではいくつかの食事の規定があります。ざっくり言うと一つはクリシュナに捧げた物(プラサーダムと言います)を食べる事。もう一つはクリシュナに捧げることが出来る食べ物はオクトベジタリアン(乳製品は摂取する菜食主義。クリシュナはミルクから作られる乳製品が大好きなのです。)のみ。私たちは肉・魚・卵を食べないため菜食主義者のように言われることが多いのですが、実際はプラサーダリアンなのです。
  四周を海に囲まれ海産物が豊富な日本人にとってこれは難しい事です。お肉を絶つ事は比較的に簡単なのですが、お魚はやっかいです。外で食べるおうどんにも煮物にもお好み焼きにも全て鰹だしが使われています。意外な所ではみたらし団子のタレなんかにも鰹は使われています。これもきっぱり絶つのではなく、今月は牛肉を止めよう来月は豚肉も止めようと言う感じに段階を経て減らしていくのが上手くいくコツだと思います。
  ただこれだけは気を付けて欲しいのですが、あなたの家族やパートナーに菜食を強制しないで欲しいのです。これで周囲と軋轢を生んで、結果としてクリシュナ意識から離れてしまう事になってしまった人が沢山居るのです。あなたがクリシュナ意識を実践していく中で人間としての魅力が増していけば、あなたの背中を見ている人たちは自然にあなたの考え方を理解していきます。

④クリシュナ意識の本を読む
 クリシュナ意識を現代に伝えているゴウディヤヴァイシュナヴァ(ベンガルのヴィシュヌ派)の本はISKCONの出版部門BBTから沢山出版されています。中でも「バガヴァッドギーター」「シュリーマドバーガヴァッタム」「チャイタンニャチャリタムリタ」の三冊は最も重要な聖典ですが、初見で読むと本当に難解で何が何やらです。僕もギーターを貰ってから10年放ったらかしにしていた過去があります。
  初心者の皆さんには次の四冊をまず読まれる事をおすすめします。
・自己の探求
ISKCON創設者・シュリーラプラブパーダの著作やインタビューにスピーチを集めた本。平易な言葉でクリシュナ意識やいろいろな問題に分かりやすく答えています。プラブパーダは19世紀生まれのインド人ですが、彼の真摯な語り口と内容は21世紀を生きる我々にも十分納得でき心を打つものがあります。
・ハイヤーテイスト 新版・旧版
プラサーダムについて理論的に解説した旧版と、実践的なレシピを沢山取り上げた新版。何故献身者は食べ物をクリシュナに捧げ肉食を避けるのか?一読していただければ理由が良くご理解いただけると思います。新版はきれいな図版も多くレシピブックとしても楽しい内容です。
・クリシュナへの道
1961年に日本で開催された宗教者会議に予定が合わず出席できなかったプラブパーダが返書として綴った詩篇に、香港の画家・李芸生が中国細密画様式の挿絵をつけた大型本。美しい挿絵と簡潔で味わい深い詩篇が読む者を魅了します。
これらの本はこのサイトや大阪センターで頒布しています。

大阪センターでのフィーストの一齣
大阪センターでのフィーストの一齣

⑤サタデーフィーストに参加する
 ISKCON大阪センターでは月一回土曜日午後6時からサタデーフィーストを開催しています。フィーストではクリシュナを讃える歌・キルタンを歌い灯明を捧げてクリシュナに仕えます。また皆でクリシュナの事を語り合ったり、スワミやゲストが来られているときは法話もたまわります。フィーストの後は主催者のサツバルーパさんとジャランギーさんご夫婦お手製の菜食のプラサーダムが振舞われます。大阪センターのプラサーダムは美味しいことで有名なのです。
 フィーストではクリシュナに仕える事と共に、献身者と交際することが重要です。献身者とクリシュナの事を語り合うことによりお互いのクリシュナ意識は高まっていきます。クリシュナ意識を続けていくと、この交際という事が如何に重要な事かと実感する機会が沢山あると思います

 この五つの実践はバラバラな様で一つの共通点があります。それは常にクリシュナを思い出すと言うことです。唱える時も聞く時も食べる時も読む時も交際する時も、常にクリシュナを想って下さい。クリシュナで心を満たして下さい。我々は弱い存在で集中してマントラを詠唱している時でも心は「お腹減ったなぁ」とか「今の女の娘可愛かったよなぁ」とかついつい揺らいでしまいます。僕もしょっちゅう揺らいでいます。でもそれは生身の身体を持つ以上仕方がないことです。どうかめげずにクリシュナ意識を実践して行って下さい。誠に「継続は力なり」なのです。

 僕自身実際の所クリシュナ意識を実践し始めた頃「四つの規定原則」(不正な性交渉を行わない・賭け事を行わない・陶酔物を摂取しない・肉食をしない)を初めとする多くの決まりごとを守る事が出来るのか不安に思っていました。そんな時在米の兄弟子が一言「釈さん、クリシュナ意識なんてねぇ唱える事と食べる事だけなんですから簡単なんですよ!」と言ってくれた事があります。この一言で何だか随分肩が軽くなった気がしました。まずはこの二つから初めて後は追々やっていけばいいかぁ~位のスタンスで始めたら、お陰でもう六年も経ってしまいました。ガチガチに実践していってずっと継続できるタイプの人はそうされるのが一番いいと思います。でも何をやっても続かない魚介類や助平の誘惑に弱い僕のようなタイプの方には、まずは緩いスタンスで初めてクリシュナ意識の実践を継続させることをおすすめします。

 仏教では教えに出会う事の稀有さを「無上甚深微妙法百千萬刧難遭遇(むじょうじんじんみみょうほうひゃくせんまんごうなんそうぐう この上ない深い教えに出会うことはとてつもなく難しい)」と表現します。皆さんもクリシュナのアレンジと過去からの色んなカルマが重なって、この無上甚深微妙法たるクリシュナ意識に縁を持たれました。このおめでたいとしか言いようの無いすばらしいチャンスを最大限に生かして、人生のゴールに向けて歩みを進めていただきたいと切に願ってやみません。そのためにこの偉そうな文章が何かのお役に立ったのなら、夜中のファミレスでポメラに向かってチマチマ駄文を捻り出した甲斐があると言うものです。

釈願船
得意料理は里芋の煮物と大根炊き。
大きな握り飯と塩昆布があったらあまり文句の無いタイプ。