本配りについて

ギータゴーヴィンダダーシー 記

夜に本を配る筆者
夜に本を配る筆者

 私はこの人生で何か没頭できるものはないのかと思っていました。ファッションデザイナーになろうと思っていましたが、これで有名になってお金持ちになったところで、自分の何が変わるんだろう?デザインをしていても、全てはこの世界にあるもののコピーではないかと思ってきました。


 いったい私は何をしたいのか?


 そういう時に東京・新宿でハレークリシュナのバジャンを聞きました。”この人たち同じ言葉をくり返し歌っている。でも私が今まで探していたのは、この音にあるんじゃないか?”と思いました。そしてまた数ヶ月後街で本をもらい、その本もすぐに読まず1年ぐらいは本棚に置いてあるだけでした。でも、ふとした時にその本を読んでみると”アハイトキーアパラティアター””絶えることのない動機のない奉仕”という節を読んで、これを探していたんだと思い感激しました。それからバガヴァッドギーターという本はどんな本なのかヨガセンターに行ってたずねました。それから後、献身者の人たちと一緒にインドに行き、世界中の献身者との交際を得ることができました。芝生の上で静かに本を読んでいる姿を見て、ちょうど白鳥が湖で泳いでいるムードと感じ、このムードを日本にも持っていきたいなと思いました。


 インドから帰ってきて、アパートを引き払いお寺で使えるものは全部ヨガセンターにもってきて、その他のものは全てお金に変えて貯金していた通帳も全てクリシュナに捧げました。私の持ち物は何もなく1円もありませんでした。私の人生は全てクリシュナに依存するという体験をすることができました。私の人生の中でも、こんな幸せな経験はなかったです。これは体験しないと言葉では理解できないことです。それから私の人生はクリシュナへの愛情奉仕へと入っていったのです。でも私は何も自信がなく、いったい何ができるのか?と思っていたところ先輩の献身者の方が”本配りをしてみたら?”と言われそれが何なのかもわからず、クリシュナのこともわからないまま新宿に行って始めて”本配り”ということを経験しました。


 私は人に接することもできず、ただ道に立っていました。この人たち早歩きでいったいどこに行くのだろう?と思いながら、時々人に近づき本をわたして”寄付をお願いします”と言うだけでした。もちろん誰もこの本を受け取ってはくれませんでした。でもその一日が終わった時”またもっとやりたい”と思いました。

 今まで誰かに仕えていても、いつもその器には限界があると感じ、私の奉仕を無限に受けとめてくれるものはないのかと思っていました。でも本配りを体験したとき”これは無限だ。私がいくら奉仕をつくしても、つくしても、もっともっと無限の器がある。”と感じたのです。この日から私はこの奉仕が、私が人生を掛けて一生没頭できることだと悟ったのです。

 一羽のスズメが大海の岸辺に卵を産んだが、海は大波を打ち寄せてその卵をさらっていった。スズメは気も動転して返してくれるように海に頼んだが、海は相手にもしない。だからスズメは海を干上げてしまおうと決心した。小さな口ばしで水をすくい始めたが、できもしないおろかな決心に誰もが腹を抱えて笑った。しかしこのニュースがついにガルダの耳に入った。ガルダはヴィシュヌの乗り物である巨大な鳥であり、スズメに同情して海に”スズメの卵を返すように。さもなければ私が大海を飲み干すぞ!”と言った。海はびっくり仰天して、すぐに卵を返した。


 このストーリーからもわかるように、不可能と思うようなことでもスズメのような固い決意があれば、クリシュナは慈悲を下さるのです。私も最初本配りをやり始めたけれど、毎日毎日誰も受け取ってくれないし結果はあまりよくなかったです。それが一年ぐらい続きました。結果は良くなかったけど、とても楽しかったです。本当に楽しい明るい人生に変わりました。私の人生の目的が明るい太陽に向かっていくだけだったからです。


 インドの聖地に行っても、ガンジス河、望みの樹、クリシュナの神像、全てのものに祈り続けました。”どうか私を本配り狂にして下さい”と。この祈りが通じたのか?ある日突然人々がどんどん本を受け取ってくれるようになり、まるで自分がやっていないかのように、受け取ってくれる人が私の所にやってくるような感じでした。”この物質の体は無知のかたまりです。舌を支配することは非常に困難です。”と言うとその人は”私はちょうどそのことを考えていたんです。”と言って本を買ってくれました。


 この頃あまり寝ないで長時間本配りをしていたので、時々本配りの途中人としゃべっているうちに寝てしまったこともあったのですが、本の説明をして寄付を頼んだあと少し寝てしまったことがあって、手を差し伸べたままだったので、その人は手に千円を置いていってくれました。夜眠っているときも本配りの夢を見て、夢の中でも本配りをしていました。”この世の中いつ何が起こるかわからないんですよ。この本はあなたを守ってくれる親友です。”と言って本のことを紹介すると、寄付も聞いていないのに一冊の本に18万円ぐらいの寄付をして下さった方もいました。そしてまたある日、朝方まだその人はお酒に酔っている感じでしたが本のことを紹介して寄付を頼んだら、お金をもっていないので銀行に一緒に来てくれと言われ同行しました。その途中で彼は”何のために本を配っているのか?”と聞かれたので”みんな人々はそれぞれ苦しんでいるんですよ。この本は全ての人の万能薬なんです。だから配っているんです。”と言うと銀行から7万円引き出して下さいました。今思い出せないけれど、たくさんのミラクルな話がありました。


 もちろん私たちがする人じゃなくクリシュナの道具になることですが、それにはサダナ(チャンティングや本を読むことなど)などが重要な本配りのパワーとなります。そうしてクリシュナの道具となることができるのです。そしてやり続けることです。クリシュナはいろんなことで、あなたは本当にやりたいのか?とテストします。ただどんなことがあろうとやり続けることです。そして、クリシュナへの深い祈りです。

 クリシュナへの愛情奉仕として本配りにもっと没頭できる月があります。それはクリスマスマラソンと呼ばれていて12月です。でもある年、私としてはそんなに没頭できていませんでした。その時、私の精神指導者(グル)から電話があり、私は”あまり数を配れていません。”と言いました。私のグルは”1週間で1000冊配りなさい。”と言われました。私はその時1日に50~80冊ぐらい配っていたので不可能だと思いました。でもグルは”主チャイタンニャに信念を持っていれば不可能が可能になる。あなたはそのことに信念を持っていますか?”と言われました。私は”はい”と答えたら1000冊配れるということだし…と思い、不可能と思いながら”はい”と答えました。それから私は朝から夜まで、寝るときも食べるときも”ハレークリシュナ・ハレークリシュナ・クリシュナ・クリシュナ・ハレー・ハレー・ハレーラーマ・ハレーラーマ・ラーマ・ラーマ・ハレー・ハレー”を称え祈り続けました。食事をしても自分が何を食べているのかわからない。寝ている時も祈り続けている感じでした。この本配りの手段を通して、こんなにも強く深くクリシュナに祈れたことはなかったです。ハートがとても苦しいぐらいの祈りでした。でもとてもネクターで甘露な祈りでした。グルを喜ばせたいと思う気持ちからの祈りは本当にすごいものです。何も見えません。ただクリシュナへの祈りだけです。その時確か1週間で1000冊より少し配れたことをおぼえています。不可能が可能になったのです。本の数を配った結果はどうあれ、クリシュナにこんなに祈って奉仕ができた体験、愛情奉仕というものを体験させていただいた気がします。愛情奉仕というのは、こんなにも甘露なものかということをグルの慈悲によって体験させていただいたのです。この甘露をまた味わいたいと思い続けています。本当に特別な体験でした。


 グルの慈悲がなければ愛情奉仕もすることができません。かたちだけじゃなく心からハレークリシュナと祈らせて下さい。いったいそういう時がいつ来るのかと思いながら本配りを続けています。最初に私が本をもらって読んだ時感激した言葉”アハイトキーアパラティアター””絶えることのない動機のない奉仕”それがいったいいつになったらできるのかと思いながら本配りを続けています。


 本配りはロケットのような速さで心を浄化してくれ、クリシュナの下に最も速く行ける手段だと聞きました。ですからすごい困難もやってきます。それは人によって違いますが、人間関係とか心の困難でやってきました。どんな困難な時も、泣きながらクリシュナに祈って本配りをしていたのをおぼえています。泣いているにもかかわらずクリシュナはとてもいい人を送ってくれて、たくさんの本を配ることができました。ハレークリシュナマハーマントラと一冊の本が私の人生を大きく変えてくれたのです。目的のない人生を送っていたので目の前は真っ暗でした。でも今は太陽のような明るい目的に向かって進むことができるのです。きっと私のように何かを探している人がいるはずです。だから本配りをやり続ける重要性があるのです。この本はクリシュナご自身なので、人の人生を変えてしまうのです。本当の私はだれなのか?本当の愛とは何なのか?この悟りへと導いてくれるのです。


 人の人生が変われば、自然に世界も変わっていきます。あなたがたった一人に配ったとしても、その人がその本を読んで人生が変わってしまったら、あなたはその人の命の恩人ですよ。そんな人々の人生に啓発を与えることができる奉仕を、あなたもやってみませんか?

ギータゴーヴィンダダーシー

ISKCONの本配りのエキスパート。1982年精神指導者ロヒニスータプラブより入門を受ける。来阪された折にも北新地など各地で精力的に本を配っておられる。